1.自社の情報化投資の状態は見えていますか?
昨今の情報機器の発達やインターネットなど通信基盤の整備・普及によって、情報化投資(以下、IT)は、ビジネス上不可欠な設備投資の一つとなってきています。金融業はもとより製造業や流通業においても、今後ますますITを前提としたビジネス展開が予想され、企業におけるITの重要性もさらに増していくと予想されています。
現在の情報化社会において、あらゆる企業のITは、自社事業で稼ぐための「飯の種」的な存在になってきているといっても過言ではないでしょう。しかしながら、ほとんどの企業でITというと情報システム部とかIT取引先とか特別な人たちしかわからない分野となっているのが現状です。これは、ITが歴史的に比較的最近台頭してきた技術であることや工場の機械設備(プラント)のように目に見える設備ではないからではないでしょうか。
例えば、製造業の工場での生産設備は、「我が社の飯の種」と認識されており、整理・整頓・清潔に保たれ、日々の整備も自分でできることは自分で行われているのが一般的です。社員一人一人に、自社の生産設備を使って製品を生産し、それで儲けているという認識があります。
一方ITはというと、工場の生産設備と同じように企業の設備投資のひとつです。ですが、目に見える工場の生産設備と違って、ITは目に見えません。その対応も雲泥の差があります。情報システム部という部門があり、そこが調達し設置し保守をしていることは承知していますが、IT自体自分の道具だという認識は薄いように思われます。事実ITに不具合があり仕事に支障が出た場合は、自分事として率先して原因を追究するのではなく、情報システム部へクレームを入れるのが一般的な対応だと思います。
一般的に設備投資は、投資した分の効果が求められます。IT投資も同じです。しかし、その効果は工場の生産設備投資のようには見えづらく、情報システム部門以外にはわかりにくいものです。また、IT設備投資の特徴としていったんシステム運用を始め正常に稼働した場合、定期的な監視を怠ると毎年のランニングコストが徐々に増加していくという傾向があります。
自社のITの状態は見えていますか?
2.定期診断の必要性
定期診断といえば、人の場合は「人間ドック」が有名です。年に1~2 回、「人間ドック」や定期健康診断を行なっている人は多いと思います。企業として、働き盛りのサラリーマンの健康状態を把握し、最適な健康状態で働いてほしいと考えるのは当然のことですし、できたら健康で最高のパフォーマンスを出してほしいものです。特に企業においては、社員の健康診断は法律で義務付けられています。また、自動車も車検を受けて合格しないと運転できませんし、コピー機なども業者が定期的に点検をしているように、会社経営における重要な部分も一部定期的に「健康診断」を行なっています。
では、「IT」に関しても健康状態を再確認するための診断を行なっているでしょうか。たとえば、医師の診断を受けるように、毎年外部の目からITの健康状態を見るための診断を受ける、あるいは自主的にITの状況を診断しているでしょうか。
大企業であれば監査役や会計士によって会社の状態をチェックされていますが、ITに関して外部の視点から診断を受けているケースは少ないといえるでしょう。会社の運営に必要なITの健康をチェックし、健康状態をつかむのは、今や社長や経営幹部の重要な業務なのです。
ぜひ、自社のITの健康診断を行なってみてください。
3.「最適化余力診断」という名のITの健康診断
ITは革新速度が異常に速いため、工場などの設備投資と異なり、機器が老朽化するリスクやソフトウエアが短期的に陳腐化・劣化するリスクがあり、5年から7年とういう比較的短い周期で設備投資を行わなければならないという特徴があります。したがって、一旦IT投資を行うと、何らかの新規投資や改修を継続的に行わなければなりません。
新規投資を継続的に行うと、投資額に比例して保守料やライセンス利用料、運用費、通信費などのランニングコストも増えてきて、ビジネス全体の収支にも影響を及ぼすような存在となってきます。ITに関する現在のランニングコストを把握し、日々最適化し続けることは、ITを効果的な状態に保つだけでなく、ビジネスの競争力を保つためにも重要な仕事となります。
ITを最適化するには、
1.現状をまず把握「現状俯瞰」の実施(現状のまとめを「現状俯瞰元帳」と呼びます)
2.「最適化余力の診断」の実施
3.最適化シナリオの作成
4.最適化シナリオの実行
という四つの手順が必要です。
「最適化余力診断」とは、現状俯瞰作業を踏まえて行う診断のことです。しかし「現状俯瞰」には、契約や費用に関する膨大な情報の調査や定価や市場価格など客観情報の収集が必要なため、現状の分析に数ヶ月もの期間がかかってしまうことがあります。そのため、情報提供をお願いする情報システム部門にもある程度の負担をお願いすることになるのが現実です。
「もう少し手軽の診断できないか。」という声を元に生まれたが、【簡易版】最適化余力診断になります。
4.【簡易版】最適化余力診断とは
【簡易版】最適化余力診断は、その名の通り「最適化余力診断」の簡易版で、主に情報化投資最適化請負人が主体となって行うサービスです。もともとの「最適化余力診断」は、現状の資料解析やインタビューを使った調査などある一定の手順を踏んだ「現状俯瞰」作業が必要です。「現状俯瞰」作業は、情報システムに関する情報以外に、会社の歴史や事業内容、業務内容なども必要となりますし、財務データから情報システムに関する情報のみを抽出し分析する作業も含まれており、数カ月を要するある一定レベルの調査分析が必要です。
一方【簡易版】最適化余力診断は、事前に提出していただいた情報(データ)に基づき、請負人のこれまで培った経験と市場感を活用することで、おおよその最適化余力や改善の可能性を診断するものです。
できるだけ提出していただく情報を絞り、様々な解析手続きを省きますので、現場担当者への負荷も軽減することができる仕組みになっています。
現在のおおよその最適化余力を知ることで、今後の計画されるIT最適化のための対象と目標を明確にすることができます。さらにもし最適化活動の結果「最適化余力」が現実のものとなった場合は、それを新規投資の元手とすることができ、次世代に向かった新しいIT投資に活用することが可能となります。
【簡易版】最適化余力診断は、
1)ITコスト(ランニングコスト)に関する診断
・年間の最適化余力を下限~上限の範囲で予測診断
2)業務改善(改善対象業務)に関する診断
・業務改善による削減可能性の予測診断(削減可能時間で表現)
の2種類の診断をご用意しております。IT最適化計画の目的に合わせて、お選びいただくことができます。加えて、【簡易版】最適化余力診断に基づいて、皆様の会社用の「IT最適化支援のご提案」を作成し、提出させていただきます。
【簡易版】最適化余力診断を行うには、以下の情報が必要となります。
5.【簡易版】最適化余力診断に必要なデータ
1)ITコストの【簡易版】最適化余力診断に必要な情報
・ITコストの支払いデータ(1年分)
・データ項目:「取引先名」、「案件名」、「年月(月分)」、「金額」、「摘要」、その他
・エクセル形式のデジタルデータ
会計システムなど、現在ご使用中のシステムからデータ抽出したものでご提出ください。
新に作成する必要はありません。
図1.通常の最適化余力診断と【簡易版】最適化余力診断のイメージ
2)業務改善の診断に必要な資料(改善対象業務に関する資料)
・組織図、拠点マップ、事業会社一覧等
・対象業務の業務分掌
・対象業務の業務マニュアル、手順書
・対象業務の業務フロー
上記は、現在あるものでかまいません。新たに作成する必要はありません。