2.「元帳」の切り口

「現状俯瞰元帳」は、古くから経営資源と言われてきた「ヒト」「モノ」「カネ」に加えて、「トキ」「カテ」を加えた5つの切り口を持っています。

1)ヒト:業務機能(業務機能関連図)

一般に業務は、(1)コンピュータ処理+人の作業と、(2)人の作業のみのものがあります。「情報システムの」と銘打つとどうしても(1)が中心となりますが、「現状俯瞰元帳」では、(1)も(2)も含めた業務全体を対象として利害関係者マップや業務機能関連図を使って図示化します。主な作成レベルとしては、全社レベル、部門レベル、業務レベルなどがあります。

特にこの業務を「見える化」するのが、「現状俯瞰元帳」の特徴でもあります。

2)モノ:システムとその接続

拠点情報や取引先情報、通信回線契約の情報などをインプットとして、現状俯瞰図に各要素をプロットし図示化します。主な作成レベルは、全社レベル、業務レベル、アプリケーションレベルなどがあります。

3)カネ:維持管理に必要な全費用

情報システムは、購入費など初期投資だけが費用ではなく、初期投資から維持運用費、廃棄費用までのすべての費用(システムのライフサイクル・トータル・コスト)を把握する必要があります。特に他社の例では、維持運用費と廃棄費用は盲点となっており、場当たり的な対応になっているところが多いようです。まずは、毎月々の支払情報から取引先別の支払管理表を作成します。その情報を基に、最適化余力診断をすることもできます。

最適化余力診断をすると、個別契約の改善点が明確になり、費用低減にもつながることもあります。

4)カテ:活動の原動力

自社のビジネスモデルについて、利害関係者マップを使って、「我が社は、何で儲かっているのか」、「コアビジネスは何か」ということが明確になるように図示化します。一般的には自社のことですから、既知のことなので不要ではないかと思われがちですが、中途採用や人事異動間もない方などには有効な資料となります。

自社の分析だけではなく、競合する他社を分析するのにも使えます。

5)トキ:これまで辿ってきた結果

情報システムの歴史について、会社の歴史から抽出し、「どのようにして、今に至ったか」を見える化します。システムの動きと、売上高の推移や従業員の推移、拠点数の推移などを組み合わせてみることで、現状の把握ができるとともに、今後の方向性も明確になってきます。